近江牛の老舗、「毛利志満」にて撮影をしてきました。
毛利志満は、滋賀県でも珍しい(2つしかない!)自社牧場を持つレストランです。
普通、牛肉を買い取り調理・販売しますが、
こちらのお店では、料理の完成を根本に据え
手間暇かけて、育て上げます。
今回撮影させてもらったのは、こちらの毛利志満御膳。
付出し・豆富・牛肉の一品・ステーキ・サラダ・御飯・香の物・味噌汁
どれもこだわりの食材を使った人気のメニュー。
早速ホームページの方で取り扱っていただきました!
昭和53年から約40年。
長く愛される続けるこのレストランのホームページには
お店や牧場を紹介するページ以外にも、
○近江牛と共に
○近江商人の誇り
○毛利志満の歴史
というページがあります。
「近江牛から近江の食文化へ」というタイトルから、
単に飲食を通じて商売をしよう。というよりも
その先を見据えた大きな展望。
「私達はこんな風に地域に根ざしたい」というブレない信念を感じます。
以下、上記で紹介させてもらった、近江商人の誇りのページから抜粋。
近江商人の家訓には、売り手よし、買い手よし、世間よしとする『三方よし』の経営精神があります。
これは、売り手だけでなく、買い手や地域の為にもなるものでなければならないことを意味しています。
また、『先義後利(義を先にし、利を後にすれば栄える)』、『好富施其徳(富を好とし、その徳を施せ)』、つまり、商いは、第一に相手の立場を考えて行うことにより、自ずと利益は後からついてくるという教えです。
そして、繁盛して富を得るのは良いことだが、一方でその富に見合った徳、すなわち世のため、人のためになることをすべきであると説いています。
この「三方よし」の経営精神から学ぶ、
第一に相手の立場を考え行うことは、飲食業界に限ったことではありませんよね。
今日食べる食事も、明日着ていく服も、どこかへ向かっていくための乗り物も、
作る側の人間にとって、まず使ってもらう人のために。食べてもらう人のために。
という目的があり、世の中を豊かにしたい一念があります。
「自分たちが食っていくために作る」という心で仕事をしていては、仮に儲かっていても
いつか衰退が訪れるんじゃないかな?と思います。
僕が今日出会った素敵な言葉を紹介します。
「【いつも変わらず美味しい】の本当の意味がわかるか?」
と。 今も東京の荻窪に本店を構える、有名な「春木屋」のご主人が
当時お店を手伝っていた息子さんに問いかけた言葉です。
このお店は、昭和24年に常設屋台のラーメン屋から出発した
ラーメン業界でも知られた老舗中の老舗です。
ご主人は、中華そば一本でその商いを確立していこうと、熱心にラーメン作りに励みますが、
結婚し、三人の子どもも生まれ、生活が苦しくなっていきます。
当時の日本はまだ、国全体が貧しく、外食自体が気軽に楽しめる状況ではない。。。
仕方なく、自分たちが食っていくために、酒類をお店に置くようになります。
そんな中、 ひょんなことがきっかけで、
貧乏でもなんでも、自分の納得する味を、お客さんに食べてもらいたい。
食べた人の笑顔が見たい。そう心から思うようになり、腹を決め、
味の探求にますます精を出し、ラーメン一本の道を歩み始めます。
何度も挫折を繰り返しながら、味の探求を重ねに重ねた春木屋は、
「これ以上ない一杯」を完成させ、ついに屋台から店舗を構えるようになり、
その店舗も行列を作り、大繁盛しました。
普通ならここで話は終わりますが、お話は終わりません。
これ以上ない一杯を毎日変わらず作り続け、売り上げを伸ばしていく中
ある時期を境に、行列が短くなっていることに、ご主人は気づきます。
理由は複数あったと思いますが、
国の経済状況が良くなり、外食産業が活気付いてきた頃。
美味いラーメンを出し続け、お店の口コミも広がる中。
ご主人はその理由を突き止めました。
答えは、「常連客が離れていっている」でした。
美味いものは美味い。それが事実であっても、隣では新しく強豪が出店をしたり、
お客さんの求めるもの。何よりも、流行が変わっていきました。
その頃のご主人は、「何かに取り憑かれたように味の研究を重ねていた」
と後に奥さんは語っています。
その先に見つけた答えが、ラーメンを作るご主人自身を生き生きとさせ、
次第に常連客も戻ってきた。と仰っています。
「いつも変わらず美味しい」というのは、「いつまでも変わらない味」とは違う。
ご主人は語る。
常連のお客さんの舌は、必ず、味に慣れる。
だから常に味を研鑽して、ベースとなる味は絶対に変えず、
お客様には気付かれないように、ほんの少しずつ味を変えていく。。
それで初めて、お客様から「変わらないね」と言われるんだ。
そして、それが【「いつも美味しい」という、本当の意味】だ。 と
この姿勢こそ、繁盛店が繁盛店である理由であり、
老舗が老舗たる所以だと、僕は学ばせていただきました。
インターネットが普及し、情報が溢れる中。
流行や最先端は、目まぐるしく変化していきます。
だからこそ根本を大切にしたい。そう思いました。
これからも、常に自分を磨き、自分の撮る写真を通して、
たくさんのお店や会社。その先にいるお客さんの笑顔に貢献していけるよう、日々奮闘していきます。
料理写真家 岡本 光城
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