前置き。前半は、「7つの習慣」スティーブン・R・コビィー著から引用。
後半は固定客と新規客の獲得について書かせていただきました。
イソップ物語、ガチョウと黄金の卵の話
○ある貧しい農夫が、飼っていたガチョウの巣の中にキラキラと輝く黄金の卵を発見した。
最初は誰かのいたずらだろうと思って捨てようとしたが、考え直し、念のために市場まで持っていくことにした。
すると卵はなんと純金だった。農夫はこの幸運が信じられなかった。
翌日も同じことが起きた。来る日も来る日も、農夫は目を覚ますや否や、ガチョウの巣に走っていき、新しい黄金の卵を発見した。やがて、農夫は大金持ちになった。
ところが、富を増すにつれ欲が出て、せっかちになっていった。
1日1個しか生まれてこない黄金の卵が待ち切れず、ついにガチョウを殺し、腹の中の卵を全部一気に手に入れようと決めた。
そして、いざガチョウの腹を開けてみると中は空っぽだった。
黄金の卵はもちろんなく、そのうえ黄金の卵を手に入れる手段さえも、農夫は無くしてしまったのだ。黄金の卵を生み出してくれるガチョウを殺してしまったのだ。
P61から
顧客との信頼関係。
○私の住んでいる町にクラム・チャウダーが評判のレストランがあった。
昼食の時間になると、毎日大混雑の状態になってしまうほどだった。
しかし、ある日そのレストランが売却された。
新しいオーナーは黄金の卵に集中し、クラム・チャウダーの具を減らし、全体的に薄めて売るようにした。
最初の一か月くらいは、コストは下がった一方で売上げは一定したままだったから、利益は急増した。しかし、徐々に顧客が減り始めた。評判が落ち、売上げはほとんどなくなった。
そこで、新しいオーナーはそれを取り返そうと必死に頑張ったが、顧客を疎かにし、信頼を裏切った結果として、固定客という資産をなくしてしまっていたのである。
黄金の卵を生み出してくれるガチョウを殺してしまったのだ。
P67から
ガチョウと黄金の卵は、作り話ではあるが、人間の心理をうまく描写した物語だと思う。
「もっと欲しい」という欲望は、売上げを上げたいという欲望とも言える。
しかし、飲食店経営はごく限られた店以外では、固定客が命。
新店であっても、老舗であっても、この固定客の獲得と、新規客の獲得がない限り店舗の繁盛はない。
それでは、何をもって固定客、新規客を増やすか。
主力商品。限定商品。メニューの種類。提供スピード。価格。接客。清潔さ。デザイン。レイアウト。居心地の良さ。営業時間。主要客層。立地。お客様の利用動機は何か。手段はさまざまで、このどれかかそれ以外に力を注ぐかが重要だ。
これらを全てクリアした店舗の売り上げがマズくなる、というのは考えられない。よっぽどの問題が発生しない限りは、その地域に愛されるお店になるだろう。
ここでもう一度考えていただきたいのが、
○地域に愛されるお店とは何か。というところで、
売り上げを上げたい。固定客・新規客を獲得したい。という経営側の想いだけで、売り上げは上がらないということだ。自分勝手であってはならない。
根本的な問題は全て店舗自体の見直し、改善、維持に力を注ぐことにあるというところで、悪魔でもお客様が求めるものを、こちら側が提供しているか否かが売り上げUPに重要な点である。
上に挙げた例えでいうと、
「主力商品。限定商品。メニューの種類。価格。」で、店舗周辺での他店との差別化がしっかりと出来ているかどうか。
同じジャンルの飲食店が近隣にある場合、この項目はかなり重要だ。
同じ内容の店舗が、そのすぐ隣にオープンしたなら、売り上げは半分に落ちる(実際はそんな単純な計算ではない)。要するに、同じ様な内容で構えていると、共倒れするか、どちらかが退くしかない。ということが言いたい。
これがもし、少しでも差別化出来ていると、同じジャンルの新店が近隣にオープンした場合でも強い。
実際に私が飲食店の店舗経営をしていた頃。自身の手掛ける店舗はオープンしてから3年が経ったあたりで、10m 隣に大手ラーメンチェーン店が新店オープンした。
私の運営する店舗は中華料理で、ジャンルとしては大きく重なったが、売上は落ちるどころか維持できた。当時、売上前年比110%を推移していたので、変わらず売上前年比110%を維持出来た。
普通この場合、外部影響が大きく出るが、維持できた理由として
①固定客を大幅に失わなかったこと。
②オープンしたお店の席数が20席しかなかったこと。
③オープンしたお店がリーズナブルな品揃えではなかったこと。
④オープンしたお店と価格設定が違ったこと。
⑤提供スピードで上回っていたということ。
が挙げられる。
都心部ではなく、地域密着型の営業を徹底していたので、お客様離れは少なかった。
その地域では、学生や住人が多いところで、最寄り駅の一日平均乗降客数は4万8千人。
地域の特性として、低価格の予算で、素早く食事ができるサービスを求めるお客様が多かった。また、家族で食事をするには少し窮屈なレイアウトであったため、新店オープンして食べに来たはいいものの、待ち時間が長かったり、メニューの種類が少ない。ゆっくりできないといった理由で、そのまま入りきらなかったお客様をこちらに誘うことができたというところだ。
そこを理解しながら営業する。またそれを共に働く仲間に理解、共感してもらうところから始まる。
「デザイン。レイアウト。営業時間。立地。」といったところは、そう簡単に変更が効かない点ではあるが、
「接客。清潔さ。」の点では、お馴染みQSC(クオリティー・サービス・クレンリネス)の改善、維持でお客様の満足度を得ることができる。
「お客様の利用動機は何か。」それと「お客様が利用しない動機は何か。」を考えてみたとき、改善点は明確になってくるだろう。
また、長年営業をしてきた店舗。老舗などは、その点で考える機会が少なくなったり、お客様の視点になりきれなかったりするので、第三者の助言や、経営者側の学び、他店臨店をするなどの工夫が必要だ。
最初にガチョウと黄金の卵の話を挙げた理由は経営者の皆さんであれば、深く理解できたかと思います。
顧客満足を得たいのであれば、一番大切な顧客に接するのと同じように、従業員にも接すること。
一人ではできないのが飲食店経営であり、チームとして業績が成り立つところに、飲食業のやりがいを感じますね。
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